【陰陽五行】桃太郎が猿キジ犬を仲間にした理由

日本昔話の一つである『桃太郎』は、桃から産まれた桃太郎が大きくなって鬼ヶ島に鬼退治に行くというお話です。
この物語の中で桃太郎は、猿キジ犬の3匹をきび団子を使って仲間にしますが…なんでこの3匹??って不思議に思いませんか?
気になって分析、調べた結果、実は古代中国から伝わる「五行思想」や「陰陽」の考え方と深い関係があるのが分かりました。
しかも面白いのが桃太郎だけではなく、「花咲か爺さん」や「金太郎」などもこの五行思想をベースに作られていました。
この記事では主に、桃太郎の話を元にしながら五行思想とは何か、陰陽の考え方について解説していきます。
陰陽説って何?

陰陽説とは、古代中国から伝わる「全ての物事は陰と陽、正反対の性質から成り立っている」という自然観のこと。
例えば、「昼と夜」「男と女」「動と静」「太陽と月」など、対となる二つの性質が互いに補い合い、バランスをとりながら世界を作っているという考え方のことです。
陰と陽は対立ではなく循環するもの
陰と陽は正反対の性質ですが完全な陰や完全な陽はなく、実はどちらの中にも少しだけもう一方の要素が含まれています。
完全に分かれているのではなく互いに影響し合いながらバランスを取りつつ、常に変化していきます。
また、陰が極限まで増えると陽に転じ、陽が極限まで増えると陰に転じるという特徴的な性質があります。
五行説って何?
この世の全てのものは、陰と陽の性質を持つと解説しました。ここにさらに「木・火・土・金・水」の五つの要素(気)に当てはめられるという思想で、宇宙にはこの五つのが絶えず循環しているとされています。
その五つの気が巡っていること、運行していることを「行」と表し、五行といいます。
また、五行には、それぞれの気が「助け合う関係(相生)」と「打ち消し合う関係(相剋)」があります。
この二つの関係がバランスよく働くことで、自然も人も健やかに循環していると考えられています。

相生と相剋をわかりやすく
相生とは、「木は火を生み、火は土を生み…」というように、五行の気が順に次の気を生み出していく流れのことです。
たとえば、
• 木 → 火(木が燃えて火を生む)
• 火 → 土(燃えた灰が土になる)
• 土 → 金(土の中から金属が生まれる)
• 金 → 水(金属の冷気が水を生むとされた)
• 水 → 木(水が木を育てる)
このように、五行はお互いをサポートし合って成長していく関係でもあります。
相剋とは、「木は土を打ち負かし、土は水をせき止め…」といった、一部の気が他の気をコントロール・抑制する関係のこと。
たとえば、
• 木 → 土(根を張って土を突き破る)
• 土 → 水(土が水をせき止める)
• 水 → 火(水が火を消す)
• 火 → 金(火が金属を溶かす)
• 金 → 木(金属が木を切る)
相剋は一見ネガティブに見えますが、過剰な力を抑えてバランスを整えるための大切な仕組みです。
五行は色や季節にもあてはまる
また五行(木・火・土・金・水)は、それぞれが持つ「気」の性質によって、色や季節にも配当されます。
たとえば五色では、木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒。
五季では、木=春、火=夏、金=秋、水=冬、そして土は季節の変わり目にあたります。
そのほかにも、味・感情・臓器など、五行には多くの配当があります。
桃は厄除けの果実

お待たせしてしまいました。やっと桃太郎の話をしようと思います。
まず桃は厄除けの果実です。中国では仙果とされ、「古事記」でも桃は魔除けの力を象徴しています。
また、多くの実を結ぶ神聖な力を持っている果実と考えられてきました。
桃は植物として「木気」の象徴で「陽」を意味します。
桃太郎はその桃の力を備えた、魔物退治(鬼退治)のための子だったのです。
鬼は虎柄のパンツで牛の角
鬼は虎柄のパンツ(虎の皮)を履いて、牛の角を持っている魔物です。
これは十二支の丑と寅の姿を合体させて表したものです。
これは「隠」おんとも呼ばれる最も「陰」を象徴するもの(丑は十二支の中でも最も陰が深まる干支)であり、丑寅は方角で言うと東北を指し、この方角を「鬼門」と言います。おもしろ〜い!

戦のために選ばれた3匹
鬼退治とは鬼と戦いに行くということ。五行でいうと「金気」の象徴です。
金気は「切る」「断つ」「戦う」などの攻撃性や制御力を意味します。
鬼退治に加わったお供の3匹は猿(申)キジ(酉)犬(戌)も全て「金気」の十二支を象徴する動物で、戦いの気を持っています。
さらに金気を構成する三支(申酉戌)が揃うと「西方金局」という金気を強める組み合わせで、最強のチーム編成です。
つまり魔除け担当の桃太郎が、戦最強編成の金気を持つ申酉戌のお供を連れて行くのは、五行の理にかなった戦い方でした。

きび団子の意味
黍(きび)はイネ科の穀物で、五行でいうと「土」の気を持ちます。
土は金を生み出す(育てる)、土生金(相生)の関係です。
つまり黍団子は土(黄色)を表し、金気の3匹の戦いの手助けになるということです。
理解するとおもしろいよ
いかがでしたか?
陰陽五行という一見むずかしそうな考え方も、昔話にそっと隠れていたり、今も私たちの暮らしの中に生きていたりします。
これからは、物語を読むときに少しだけ“陰陽五行の視点”を加えてみると、思いがけない意味やつながりに出会えるかもしれません。
また気が向いたら解説しますのでぜひ興味を持ってもらえたら嬉しいです。