自律神経の乱れ?よく聞くけど どういうこと?

 「自律神経が乱れる」「自律神経失調症」言葉としてはよく聞くし、重要そうなことはわかるけれど本当はよく知らない。そんな方はたくさんいらっしゃいます。今回は自律神経ってそもそも何なの?乱れるとどうなるの?自律神経を整えるためにはできること、などについて詳しくまとめました。

自律神経って何?

 人間の身体には、無数の神経があり、その分類方法もさまざまですが機能で分類すると、「運動神経」「感覚神経」「自律神経」という3種類に分けられます。運動神経は脳からの指令を筋肉に伝える働き、感覚神経は、熱い、痛い、などの感覚を脳に伝える働き、自律神経は主に内蔵の働きを調整する働きがあります。

 自律神経は運動神経のように意識して動かす随意運動ではなく、意識していなくても動く付随運動を行います。心臓や肺が意識しないと止まってしまったら大変です。

交感神経と副交感神経

 自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類に分かれます。心臓、肺、胃、腸などのあらゆる臓器に交感神経と副交感神経が両方通っています。交感神経の働きが強いと副交感神経の働きが弱まり、交感神経の働きが弱いと副交感神経の働きが強くなる、シーソーのような関係にあります。

 交感神経優位とか副交感神経優位という言葉もよく聞かれますが、どちらかだけが働くという100:0ではなくて、60:40とか30:70というようなバランスで機能しています。

 交換神経は主に起きている時や緊張している時、またはストレスがかかっている時に優位に働き、副交感神経は寝ている時やリラックスしている時に優位になります。

交感神経と副交感神経の働き

 交感神経と副交感神経はそれぞれ以下のような働きをしますが、正反対の働きを行っていることがわかります。

交感神経優位の時
・心拍数が上がる
・気管支が広がる
・瞳孔が広がる
・消化機能が弱まる
・排便、排尿が抑えられる
・肝臓に蓄えた栄養を分解しエネルギーにする

副交感神経優位の時
・心拍数が下がる
・気管支が狭まる
・瞳孔が狭まる
・消化機能が強まる
・排便排尿が促される
・肝臓に栄養を蓄える

なぜそのような働きをするかは進化の歴史

 交感神経、副交感神経が上記のような働きをするのは進化の歴史によるものです。私たち人類は進化の歴史の中で、肉食獣に襲われるとか、隣の部族と衝突するなどの危機の中、生き残り、子孫を反映してきました。

 このような危機の状況には、気道を広げてたくさんの酸素を取り込み、心拍数を上げて脳や筋肉に酸素とエネルギーを送るといったことを行うことができると生存に有利でした。戦うにしても、逃げるにしても有利なため、「闘争・逃走反応」と言われています。これらの機能がうまく働かない人類は歴史の中で淘汰されてきたと言えます。

 闘争・逃走反応が働くと能力がアップしたように見えますが、交感神経が優位の状態では消化や吸収、排泄などの機能を抑えてしまっています。このままでは身体に不調をきたしてしまいますので、リラックスしている時や寝ている時には副交感神経が活発になり、消化、吸収、排泄などの機能を高めます。

社会の変化が人類をむしばむ

 肉食獣に襲われる、隣の部族と戦うというような危機的な状況と表現しましたが、今はそんなことは滅多に起こりません。しかし、現代社会においては昔よりも頻繁に闘争・逃走反応が起こっています。

 闘争・逃走反応は強いストレスを受けた際に働きます。昔は死ぬかもしれないような危機的な状況でストレスが高まりましたが、現代社会では締め切りに追われたり、上司に叱責されたりといったことで、昔よりもストレスがかかる場面が多くなりました。

 一方で寝る時間が短くなり、リラックスできない状態が続く中で、副交感神経が優位になることが少なくなっています。このような状態が続くことで、頭痛、耳鳴り、不眠、などの症状や免疫力が低下することによりあらゆる病気になりやすくなっていると考えられます。

 人類は何百万年という時間をかけて進化してきましたが、社会の変化のスピードが早すぎるために、私たちの身体や脳の仕組みが現代社会に適合できていないということが起こっています。

副交感神経を働かせるために

 最後に、副交感神経を優位に働かせるためにできることについてまとめます。

・夜は電気を暗くする

・寝室ではスマホは使わない

・夜はゆっくりとお風呂に浸かる

・ストレッチや瞑想などを行う

・腹式呼吸を行う

 リラクゼーションサロン「NAGA」で行っているカルサイネイザン・チネイザンの施術ではリラックスした状態で内蔵にアプローチすることによって、副交感神経が作用し、内蔵の機能を高める効果があると考えられるタイの伝統的なデトックスマッサージです。

 自律神経の乱れからくる身体の不調は、ゆっくりと身体と心を蝕んでいきますので、日頃から意識して取り組んでいくことが重要です。